まだ知らぬ道を探して新しい冒険へ。自由にあふれ探求心を満たしてくれるグラベルライディングは、多くのサイクリストに親しまれるようになっています。しかし、グラベルライディングは近年生まれた概念という訳ではありません。グラベルバイクが誕生するずっと以前から、シクロクロスバイクやツーリングバイクに手を加え、ドロップハンドルバーとワイドタイヤを装備したバイクを作り上げる人たちがいました。こうしたバイクには主にロードコンポーネントが使われていたものの、やがてギアレンジをワイドにすべくMTBのカセットスプロケットとリアディレーラーが組み合わされていくようになります。しかし、このようにカスタマイズされたドライブトレインは、時に信頼性に問題があったり補修部品の入手に問題のある特殊な部品を組み合わせる必要が多いのも事実でした。
数年が経ち、グラベル専用のフレームやホイール、タイヤなどが続々と登場し、グラベルライドの世界が急速に進化を続ける中、シマノはブランド初となるグラベルアドベンチャーグループセットである「GRX」を発表しました。GRXグループセットは、タフなグラベルライドやレースに求められる要素を満たすべくゼロから設計され、革新的なエルゴノミックデザイン、グラベルに最適化された歯数構成、そして多様なライディングシーンに対応できる幅広いオプションを備えています。
もしあなたが新しくグラベルバイクを購入する、あるいは今使用しているドライブトレインを完全に交換するのであればGRXグループセットはまさに理想的な選択肢です。10スピードか11スピード、1x11スピードか2x11スピード、そして機械式か電動式シフトか。シマノGRXは様々なフレームへの高い適合性と幅広い予算レベルに応える多彩なラインアップで、チャレンジングなグラベルフィールドに挑むための高性能なドライブトレインをお届けします。
しかし、すべてのライダーが新たにグラベル仕様のバイクを用意できる訳ではないでしょう。幸いGRXコンポーネントには現行のシマノロードコンポーネントとの高い互換性が備わっているので、段階的にアップグレードしていくことも可能です。ほとんどのGRXコンポーネントはシマノロードグループセットと互換性がありますが、中にはGRX独自の機能や特徴による例外も存在します。もしあなたのグラベルバイクをアップグレードしたい場合は、下記の注意点を正しく理解した上で、今お使いのロードコンポーネントとの互換性を確認するようお願いします。
10スピード or 11スピード
ドライブトレインのスピード(リアの段数)は揃える必要があります。もし現在10スピードのロードコンポーネントをお使いの場合、導入するGRXコンポーネントも10スピードのものにする必要があります。現在11スピードをお使いの場合も同様です。
1x11スピード or 2x11スピード
GRXには1x11と2x11のドライブトレインオプションが用意されています。1x11仕様で11-40Tもしくは11-42Tのカセットスプロケットを使う場合、ロングケージのGRXリアディレーラーを組み合わせる必要があります。機械式、Di2それぞれにロングケージリアディレーラーを用意しています。
GRXクランクセットとフロントディレーラー
シマノGRXクランクセットはワイドなグラベルタイヤとのクリアランスを確保するよう、+2.5 mm外側に出されたチェーンラインで設計されています。シマノロードクランクと比較した場合、Qファクターが左右それぞれ2.5 mm広くなっているという言い方もできます。このため、GRXクランクセットを使用する際は2x11スピード、2x10スピードのどちらの仕様においてもGRXのフロントディレーラーと組み合わせる必要があります。
ディスクブレーキ仕様のみ
GRXグループセットはディスクブレーキ仕様のみの展開となります。リムブレーキ仕様のバイクにGRXドライブトレインを搭載することは可能ですが、その際はリムブレーキ用のシマノロードシフト/ブレーキレバーを正しく組み合わせてお使いください。
互換性のあるパーツ
ドライブトレインのスピード(リア段数:10スピードまたは11スピード)が同じであれば、シフトレバー、チェーン、ブレーキキャリパー、ボトムブラケット、ケーブル&アウターケーシング、そしてDi2用バッテリーやその他アクセサリー類などは現在お使いのパーツをそのまま使うことができます。
シマノGRX 800シリーズおよび11スピードのGRX 600シリーズは、11スピードのDURA-ACE、ULTEGRA、SHIMANO 105ロードグループセットと互換性があります。シマノGRX 400シリーズおよび10スピードのGRX 600シリーズは、現行の10スピードTIAGRAグループセットと互換性があります。